悪いことがしたい、いい子でいたい

痩せたいけど、美味しいもの食べたい。貯金したいけど、観劇もコスメも我慢したくない。ゴロゴロしたいけどどこか遠くへいきたい。

とあるヅカヲタの入り出事情

私はもうOGの中堅男役スターのファンを何年かしていた。
宝塚は子供の頃からあまり意識せずに見ていたが、自分でバイトをして稼いだお金で、ちゃんと会に入る、入り出をする、贔屓を作ると言うことが初体験だった。ここまで深入りしたことはなかった。ディープなヅカヲタの世界の扉を開いた第一歩だったのだ。

元々ジャニオタだったし、女子高校生だった私はなんでもよく吸収するスポンジだったのだと思う。

独特なルールとニュアンスで成り立つ世界、そこにはそこでしかない格式美と常識、宝塚の常識は非常識といわれるぐらい不思議な世界だ。

私はこの世界の雰囲気が100年続いてきたからこそだと思うし、郷に入っては郷に従えなにも疑問も思わなかった。

入り出にはたくさんルールがある、これは会があったりなかったりでまた違うのだが上級生のファンはファンにとっても上級生なのである。
上級生のファンクラブ(=会)の前を歩いてはいけない、入り出待ちは学年順(時と場合によるときもあるが)で並ぶ、
○○さんのファンと呼ばれる嬉しさと○○さんのファンはお行儀が悪いとか贔屓に迷惑をかけることもある。

それを律するために非公式ファンクラブの代表やそれのお手伝い、スタッフなどがいる。まあそれはおいておいて、
ジャニーズにも非公式の存在ってあるよね、オリキ、やらかし、しきり、ちゃのま、宝塚にも存在する同じような世界、ジャニーズのデータももう10年更新されてないが最近はどうなんだろうか?
むしろジャニーズが宝塚の真似らしいぞ!ってなる。宝塚の歴史は長い。

ギャラリーと言われる誰のファンでもない、自由に行動ができる人とは違うのはそのスターのために、そのスターの名前を背負って入出を出来るのだということである。ファンクラブがお揃いのアイテムを纏って、その人のために待つ。ガードと呼ばれる存在であって、生徒(出演者)がきたらしゃがむというルールがある。ガードの人数によってその人の人気を測れるというメリットもデメリットもある。
本人に会いたさもあるのだが、私にとって入出は夏休みのラジオ体操スタンプラリーであった。ちなみに、私はラジオ体操スタンプラリーはしたことない(笑)

入出のその場1時間とかを、会員さんとずっと一緒に過ごすわけだ。それは気があう人も合わない人もいる。ファンクラブという狭い社会の中でもさまざまな人間関係があり、社会の縮図であると私は沢山のことをお姉様方から学んだ。
そしてその中の気の合うお姉様方とは今でも付き合いがある。

いきなりこんなことを言うのはなんだが私は可愛がられてたのだと思う。スターにも周りにも、良くも悪くも私は天真爛漫だと周りに言われる。それは長所であり短所であると。
スターの気まぐれはそれはもう気まぐれでしかなくて、いつもいつも可愛がってくれる訳ではない。お互い人間であるから波もある。こっちが勝手にスターがくるのを待っているのだとどこかで思い、私はそんな人間性が垣間見えるスターが嫌いではなかった。塩対応と言われるスター、それを面白おかしくネタに酒を飲むそんな仲間がいた。

贔屓が辞める時、私は退団公演のベルばらにちなんでル・ルー(主人公オスカルの姪)ごっこをした。ル・ルーがいつも持っているお人形さんのごとくダッフィーを抱えて挑んだ。
今まで皆様ごめんあそばせ!の気持ちを込めて。

私にとっての贔屓の卒業は、「さらば諸々の古きくびきよ、二度と戻らない私の青春よ」だったはずだ。

それから早何年。未だにレディにはなれていない(笑)

何が言いたいかというとガチでファンをするのは楽しいよ!ってこと。
そして会という存在はめんどくさいけど、やっぱりどこかで続いていってほしいとヅカヲタとしては思うのだ。